範囲制約と整数線形計画法の求解

範囲制約の多項式定式化

$f$ をバイナリ変数の多項式とします。 範囲制約は $l<u$ のもとで $l\leq f\leq u$ の形式を持ちます。 目標は、範囲制約が満たされるときかつそのときに限り最小値0を取る多項式を設計することです。

鍵となるアイデアは、範囲 $[l,u]$ の値を取る補助整数変数 $a$ を導入することです。 以下の式を考えます:

\[\begin{aligned} g &= (f-a)^2 \end{aligned}\]

この式 $g$ は $f=a$ のときちょうど最小値0を取ります。 $a$ は $[l,u]$ の任意の整数値を取れるため、 式 $g$ が0になるのは $f$ 自体が同じ範囲内の整数値を取るときかつそのときに限ります。

この補助変数の手法を用いて、PyQBPPは between() 関数により範囲制約を実装しています。

整数線形計画法の求解

整数線形計画法のインスタンスは、目的関数と複数の線形制約から構成されます。 例えば、以下の整数線形計画は2つの変数、1つの目的関数、2つの制約を持ちます:

\[\begin{aligned} \text{Maximize: } & & & 5x + 4y \\ \text{Subject to: } & && 2x + 3y \le 24 \\ & & & 7x + 5y \le 54 \end{aligned}\]

この問題の最適解は $x=4$, $y=5$ で、目的関数の値は $40$ です。

以下のPyQBPPプログラムは、Easy Solverを使ってこの最適解を求めます:

import pyqbpp as qbpp

x = qbpp.between(qbpp.var_int("x"), 0, 10)
y = qbpp.between(qbpp.var_int("y"), 0, 10)
f = 5 * x + 4 * y
c1 = qbpp.between(2 * x + 3 * y, 0, 24)
c2 = qbpp.between(7 * x + 5 * y, 0, 54)
g = -f + 100 * (c1 + c2)
g.simplify_as_binary()

solver = qbpp.EasySolver(g)
sol = solver.search({"time_limit": 1.0})

print(f"x = {sol(x)}, y = {sol(y)}")
print(f"f = {sol(f)}")
print(f"c1 = {sol(c1)}, c2 = {sol(c2)}")
print(f"2x+3y = {sol(c1.body)}, 7x+5y = {sol(c2.body)}")

このプログラムでは、

  • f は目的関数を表し、
  • c1c2between() を使って作成された範囲制約を表し、
  • g はそれらを1つの最適化式にまとめたものです。

目標が最大化であるため、目的関数は -f として符号を反転しています。 制約 c1c2 は重み100のペナルティを付けて、高い優先度で満たされるようにしています。

g に対してEasy Solverのインスタンスを作成し、制限時間1.0秒を search() のパラメータとして渡して探索を実行します。 最適解 sol を得た後、プログラムは xyfc1c2、および制約本体の式の値を出力します。

プログラムの出力は以下の通りです:

x = 4, y = 5
f = 40
c1 = 0, c2 = 0
2x+3y = 23, 7x+5y = 53

ここで、

  • c1 は制約 0 <= 2x + 3y <= 24 のペナルティであり、
  • c1.body は線形式 2x + 3y を表します。

ソルバーが正しく最適解を見つけていることが確認できます。


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Page last modified: 2026.04.04.